怪談「脚長渕」
昔、あるところに背の高いのが自慢の男がいた。背丈は180cm以上あり、また脚も長く、トライアンフのタイガーにもハスクバーナのFEにも跨ることができた。
ある夜男がキャンプをしていると、どこからか女の声がする。
「よこせ...身長よこせ...」
驚いてテントの外を見てみると、恨めしそうな顔の女が男のバイクに跨って脚をぷらぷらさせている。
恐ろしく思った男だったが、人のバイクに勝手に跨った挙句に文句を垂れる女にだんだん苛立ってきた。
「うるせー!クルーザーに乗れ!足つきいいぞ!!」
と叫ぶと、女は
(いやそういうことじゃねえんだよな...)という感じの苦々しげな顔をして消えた。
明くる朝、バイクの倒れる音などもなく安心しきった男が起きてみると、
自慢のアフリカツインはエイプに、男の身長は155cmになっていた。
これ以来、そのキャンプ場は「脚長淵」と呼ばれるようになり、クルーザータイプのバイクは必ず何かにつまづいたかのように転倒するようになったそうだ。
ツイッターに垂れ流してみたものの、埋もれるのももったいないので書いてみた