九州編最終話~旅の終わりは叫び声とともに~
九州最終話。おまたへしました。
3月6日。この日が九州最終日である。安心院を9時に出発。
最終日と言ってもフェリーは23時55分出航なので、丸一日遊べる。
朝一で向かったのは、奥みょうばん山荘。なんと全室貸し切りで550円。ここで朝風呂をキメるのだ。
奥の母屋でご主人に声をかけて、案内していただく。
肝心の温泉はというと・・・
硫黄の湯の花が漂っており、いかにも温泉な香りがするものの、湯あたりするような感じは全くなく、非常にマイルド。ずっと浸かっていられて、「来世は温泉になりたい」と思わせる温泉だった。
これを独り占めできるのが本当に最高。また来よう。リピート決定。
湯上りは母屋でプリンと温泉卵を頂きながら、ご主人から温泉の話を聞く。
ご主人は大阪出身で、温泉が大好きすぎてこの地にDIYで温泉山荘を作ったらしい。
九州からほど遠い草津の話なんかもしてくれた。
余談だが、駐車場からバイクを取りまわすとき、貸切露天にいたオジサンにずっと見られていたのであった。ど平日にデカいバイクに乗ってる女なんか珍しいもんね。去り際に手を振る。
さて、この後はどうしよう。耶馬渓か。うーん。中途半端な時期だな。花粉の多い山間部にはあんまり行きたくないしなあ。
そうだ、この旅でしていないことがあったな。
酒蔵訪問である。
前々日に日本酒Barで飲んだ「豊潤」が美味しかったのを思い出し、他にはどんなラインナップがあるかなーと寄ってみることにした。
ここで春のにごりを買い、配送を手配。
かなり小規模な酒蔵で中の見学などはできなかったが、社員のお兄さんもバイクに乗っているようで話が弾んだ。
別府のお店で飲んで美味しかったと話したら、そこのスタッフさんが酒造りのワークショップ?お手伝い?に来たことがあり、そこでお店に置くようになったとのこと。なるほどそういうことだったか。酒ネットワークを感じる。
ここでいい時間になったのでお昼を食べることにする。
フォロワーさんに教えてもらった「しゅうちゃんラーメン」が近いので、そこにした。
大分の北の方にあり、ここ通るかなー・・・?と思っていたのだが、まあ、普通に通過ポイントになってたよね。
休日はすぐに売り切れてしまうラーメンとのことで、期待が高まる。
麺の硬さを指定すること数分、すぐに着丼。
異様に美味い。うますぎる。力強い豚骨ラーメンである。
卓上のニンニクをすりおろすことで、このラーメンは完成する。
どうせ日がな一日ヘルメットをかぶっているので、躊躇なくニンニクを食べられるのもバイク旅の良いところだなあ、などと思う。
良いもの教えていただき、ありがとうございました。
余談だが、食べ終わって一服しているときにこんなツイートを見つけて。
https://twitter.com/North_ern2/status/1632577337232601088?s=20
何だこれはどこだよとゲラゲラ笑っていたら、自分がいた場所のほんのすぐ近くだとフォロワーさんに教えていただいたのだが、リプをもらっていたときには既に次の目的地に向かってしまっていたのである。
せめて立ち寄ったコンビニでリプチェックしていれば寄れたのに。悔しすぎる。リベンジ案件である。
九州最後の目的地は千仏鍾乳洞。鍾乳洞大好き。冒険感があるのでね。
なんといってもこの鍾乳洞の中には、
巨乳と
初音乳がある。
洞窟の中は湧き水でかなり靴が濡れるので、入り口でクロックスを借りる。
ある一定のエリアまでは普通に行けるのだが、10分くらい進むとそれ以上は足を湧き水に浸さないと進めない。
水温は、体感で吟醸酒を飲むには少し高め、なので13℃前後といったところか。
バッグにはGoPRO、iPhoneなどの水没厳禁電子機器の数々。内部は石灰岩で滑りやすい。旅も終盤で疲れと気のゆるみが出てきているころだ。ここはおとなしく
行くに決まっているよなあ???
ザブザブ、ザブザブ、足で水をかき分けて進む。これが結構楽しい。
初音乳はピンク色に妖しくライトアップされていた。
さらに10分ほど歩いたところで行き止まり。
ここから先は行けなくはなさそうだが、装備が無いのでさすがに引き返した。
鍾乳洞は探検気分を掻き立てられるとともに、暗くて狭いところに閉じ込められることに対する原初的な恐怖を味わえるので、なかなか楽しかった。
カルスト地形を走るのも何気に初めてだったので、そこも楽しめた。車載動画、上手く撮れているといいなあ。
ちなみに足首のみならず普通にひざ下までがっつり濡れた。冷たくて真っ赤になってるし。晴れの日にわざわざびしょ濡れになる馬鹿がいたらしい。
そして、上からもぽたぽた滴ってくる上に汗もかくし、いちいちそれを拭うので、描いた眉毛は全部消えた。
鍾乳洞を出た時点で16時過ぎだったので、新門司港方面に向かう。
欲しいクラフトビールもあるしね。
帰宅後に飲んだらめっちゃ美味しかった。小倉はリトル東京で、本当に運転が大変だったのだが、それを押して買いに行った甲斐があった。また飲みたいので入手しやすくなってほしい。
門司港に移動。駅前にバイクを置く。
このお店ではただでさえスパイスのかかっている焼きカレーに追いスパイスをかけることができる。
とろーりハフハフの焼きカレー、旅の締めくくりにふさわしく、とても美味しかった。
というか門司って一大観光地だったのね・・・。
全然知らなかったので、遅い時間に行ったらもうほとんどのお店がやっていなかった。残念。ここでお土産とか買えたじゃん・・・。
キラキラの観光地を、ひとりうろつく。眉毛を失ったすっぴん顔のまま。
門司港、建物は希少だし普通におしゃれで楽しそうな街だったので次は普通に観光したい。
まだ集合まで時間があったので、空港のライトアップを見に行こうとも思ったが、もう普通に疲れてしまっていたのでおとなしく乗船手続きを済ませた。
フェリーの中では体を休めつつブログの草稿を書いたりするなど、楽しく過ごしていた。
これで、旅が無事に終わる。ただいま関東。サンキュー九州。
・・・そう思っていた。
事件は下船時に起きた。
船内には、他にも降りるバイクが10台ほどいた。春休みだからね。おいでませ関東。
そんなことを思いながら、背後で数台待機しているバイクがある程度動いてからFazerを取りまわそうとしていた。その時だ。
バイクが、ガタリと、何らかの力で後ろに動いた。
「アァァァァアァッッッ!!!」
恐怖のあまり叫び声が出た。それも空しくエンジン音にかき消された(船頭なのでエンジンが近い)。
フェリーのバイク駐車スペースには、鎖を固定するための突起が床上にいくつも設置されている。どうやらそれを乗り越えたらしい。
慌ててあたりを見回すと、右後方にオジサン。取り回しを手伝ってくれたらしい。気持ちは嬉しいが、せめて声をかけてくれ。いやかけたのかもしれないけど、聞こえないよ!
頼む。これ以上動かさないでくれ。下手すると真後ろのカブにぶつかる。
エンジン音に負けないありったけのキンキン声で、叫ぶ。
「カブに!!ぶつかるッ!!この人たち降りてからゆっくり取り回すんで!!大丈夫!!かえって危ないんで!!どうもね!!離して大丈夫です!!離しっ・・・離せえええええ」
声が枯れた。恐怖で水分が全部蒸発して、めっちゃ喉が渇いた。横須賀から大体磯子あたりまでドキドキドキドキしていた。ちなみにこれを書いている手も思い出し恐怖で冷たくなっている。
・・・最後の最後で締まらないのである。
ともあれ無事に帰ることはできた。
今度はB級スポット大好きな配偶者を連れて大分のラクテンチに行きたいし、今回悪天候で回れなかった長崎、それから天草の海沿いや最南端の佐多岬にも再チャレンジするつもりだ。
動画になるのはいつのことやら。気長に待っていてくださると嬉しい。