オタク7人で富士山に登った話
結論から言うと登っちゃえたので、なんだか抜け殻状態のしゃるどねです。
目先の目標は到達した、私は富士山を既に知ってしまった、童貞を卒業したときというのは果たしてこのような気分なのだろうかと思いを巡らせる。
何の参考にもならない山行記、つらつら書いていきます。
発端は半年ほど前で、拙宅でベロンベロンに酔っ払ったフォロワーの脇役くんと私で、「富士山登ろうぜwwwww」という話をしたことが始まり。
登山経験者のオタク2人を誘い、
いつの間にか北海道と福島のフォロワーが加わり、さらに静岡の民を巻き込むことで、
合計7名のパーティーが出来上がりました。賑やかで楽しい。
ワイたちはこれになりたかった。富士山に登れば美少女になれるらしい。
登山までにやったこと
・まだ筋力の少ない右脚をシバく
スプリットスクワット、片足ヒップリフト、バランスボールヒップリフトなどなど
ちゃんと右でも片足プランクができるようになりました
・持久力を付ける
トレッドミルで傾斜早歩き
・長時間の歩行と火山の歩き方に慣れる
高尾山→陣馬山の12km縦走および那須岳に脇役くんを引っ張り回した
・5日以上の禁酒
高山病予防。これが一番つらかった
ルートについて
富士山には4つのルートがある。
1つは最も人気で初心者向けの富士吉田ルート。
ここの山小屋を当初取ろうとしたけれど、本当に全然予約が無理だったので、山小屋に空きのあった富士宮ルートに決定。
富士宮ルートは最短距離で山頂に着くので、高山病にさえ気をつけてれば楽勝じゃん。そう思っていた時期が私にもありました。
富士宮ルートの下りは膝を殺しにくるともっぱらの評判だったので、帰りは御殿場ルートを選択。
11:53、富士宮口5合目を出発!…雲がすごい(´・ω・`)
登り始めてすぐ、山小屋「雲海荘」があるので高地順応も兼ねて昼ごはん。
ここまでたかだか20分程度しか歩いていないのにすでに汗だくだし、うどんがめちゃくちゃ美味しく感じる…!
実は自分に全然余裕がなく、これ以降の写真をほぼ全く撮っていないのである。無念。
16:20に元祖7合目の山小屋「山口山荘」に到着。
眼下には雲が広がり、遥か遠くに街を望む。
幻想的だ。
幻想的、なんだが、
パトラッシュ、なんだかすごく眠いんだ。
気圧の低さからか、低酸素からか、眠い。本当に眠かった。
ので寝た。
寝ると息が浅くなるので、高山病予防の観点からは本当は良くないらしい。
手足が異様に冷たかったので、シャリバテを起こしていた説まである。
夕ご飯はカレーだった。レトルトだが、十分ありがたい。カレーは飲み物。食べることでようやく体温が回復してきた。
山小屋に泊まるのはこれが初めてで、立って半畳寝て一畳なサイズ感だったが、端っこにスペースを取ってもらった上にパーテーションがあったので全然問題はなかった。
19:00就寝。起きたのは1:30。普段の生活リズムからでは考えられない。
山小屋でもらったパンをもぐもぐしながら星空を見上げる。
富士山の七合目からは星がたくさん見えて、でもiPhoneでは全然映らなかった・・・
あれがデネブアルタイルベガしながら夜空を見つめていたら、流れ星を見つけた。
後ろで「カネカネカネェ・・・」と聞こえたのは低酸素に由来する幻聴ではなかったようだ。
異界じみたところに行こうが所詮我々は俗物なのである。
ところで、みんなしゃっきりもぐもぐしているのに脇役くんが起きてこない。
どうやら頭痛があるらしい。高山病である。
この暗い中では「ちょっと登って無理だったら引き返す」のは大変に困難だと、はにー氏が判断。
高山病は高度を上げるほどに悪化するし、登山では上りよりも下りの方が危険だ。
それを踏まえて、脇役くんは待機を決断。
本当に勇気ある決断だったと思う。私なら地面に転がって駄々を捏ねていた。
2時過ぎ、6人で頂上を目指して出発。
頂上を目指す登山客のヘッドライトが転々と連なる。頭上には満天の星空、遥か彼方の街明かり。現実離れした光景のおかげで、酸素の薄い中登ってもしばらくはつらくなかった。
しばらくは。
このルート、最短ということは勾配が最もきつく、酸素の薄さに順応するための時間も短い。
勾配はきついなんてもんじゃない。もはや一部の区間は岩登り。
わりい・・・やっぱつれえわ・・・
脇役くんは登らない判断で大正解なのである。絶対に体調は悪化していただろうし、安全に帰せる保証がない。
8合目以降、標高が高くなるにつれ、つづら折りを2つ、1つ抜けるごとに小休止を挟むことになる。息は全然整わないし、心臓は爆発しそうだった。
しかも、気温は6度。風は強いし、汗が引くとめちゃくちゃ寒い。
結局、日の出は9合5勺目を少し行った先で見ることになった。
さて、目指すは頂上なのだが、ここからも大変な心臓やぶりが続き、もはや気持ち悪さを覚えるまでであった。
息が苦しくて胸が痛いという経験は初めてだった。心臓には痛覚神経がないはず。どこが痛むんだろうか?
登頂した感想は、「yogiboが欲しい~・・・」であった。1回10分2000円で抱き着けるサービスがあったら売れると思う。マジで。
それから登頂証明書を買うなどし、御鉢周りをすることに。
火山らしく頂上には本当にすり鉢状になっている。
吉田口側の山小屋に寄りつつ、富士山最高峰の剣が峰を目指すプランだったのだが、何せここは標高3,700m、普通に歩くだけで息が切れる。
少しでも上り坂があろうものなら、パーメットスコアが爆上がりである。
せっかくゼーハーしてるし、みんなハンドルネームでぶっちゃけ本名を知らないフォロワーさんもいたので
「後で、教えて。あなたの・・・本当の名前」をやろうとしたのだが、間が悪くてできなかった。ノレアちゃん、可愛いね。
吉田口の山小屋で食べた豚汁と白米250gくらい?1,500円。あったかうまうま、マジで人権でした。
この地点から最高峰剣ヶ峰に行くルートは、御殿場口の下山道まで引き返す道の2倍の距離らしい。
普段なら喜び勇んで行ったのだが、いかんせん少し歩いただけでも息切れするので、私は引き返すことに。
したんだが…2時間くらい滞在していたらその酸素の薄さにも少し慣れてきたのでもったいなかったかもしれない。
パーティーは、引き返し組とお鉢巡り組に分裂した。
御殿場ルートの下り道は長い。とにかくめっちゃ長い。10km強もあるのだ。
そして私は下りがめちゃくちゃ苦手でへたくそだ。全然コースタイムが縮まらない。
8合目付近で御鉢回り組に追いつかれてしまった。
膝の悪かった期間が長く、本能的に自分の脚を信じられないのだ。膝が脱臼する時はいつも下りだった。
恐怖心で身体がこわばる。ウイスキーが欲しい。ひと口飲めば思い切りが良くなれるのに。
さて、7合目まで下ってきた。
ここからは大砂走り。ふかふかの砂に足首まで埋もれて、踵を滑らせながら降りていく。ゲイター(靴カバー)必須。
普段の自分ではありえないようなスピードが出てとても楽しい!
でも私の歩幅では降りるまでに日が暮れてしまうので、後半はほとんど走っていた。
大砂走は約6kmあるそうだが、その間山小屋は一切ない。だって砂利道だし。
いつまで下ればつくのか… pic.twitter.com/tpk075af5l
— にわとり@z900 (@niwatoritoninja) 2023年7月29日
途中から砂が少なくなり、硬い岩場に砂利が敷き詰められたゾーンに入る。駐車場まであと3kmくらい・・・?砂利で踏ん張りが効かないのに、底が硬い。脚が痛い、痛い、痛い……
苦悶の表情を浮かべてじりじりと降りる。
トレイルランの方に、すれ違い様に「大丈夫ですか!?」と声掛けいただく。ごめんなさい、怪我をしたとかそういうわけじゃないので大丈夫です。大丈夫ではないが。
「400m歩いたら休むからね!」と励ましてくれるiwaken氏の声が遠い。
もしかしたら宝永火口沿いに歩いて、富士宮ルートの岩場がきつくないゾーンに復帰した方がよかったのでは?と一瞬後悔した。
ちょくちょく休みつつ、何とか御殿場登山口付近の大石茶屋までゴール。ポカリが死ぬほど美味しかった。
かき氷も食べたかったが、富士宮口に脇役くんを待たせているのでタクシーを呼ぶ。
人生で一番砂埃まみれなので、小屋に置かれたはたきでザックや自分の身体をバッシバシ叩く。文字通り叩くと埃が出る。人間性を具現化しているかのようだ。
運転手さん曰く、今年はコロナ前よりも登山客が多いらしい。そうだよねえ、外国人の方もいっぱい来るようになったもんね。
脇役くんと無事合流後、温泉に行き、解散。
この温泉、モンベル会員は1時間350円で使えるのでとてもよき。
薬湯が致命的なアレルゲンを使っていたので入れなくてしょんぼり、というかうっかり入らなくてよかった、あぶねえ!
最高にビールが美味かった。六根清浄、何だそれは。新富士駅1Fの居酒屋はなかなか地酒が粒ぞろいで気合を感じた。お魚も美味しかった。
圧勝ははにー氏。一番焼けてないのが私の手。ウォータープルーフの日焼け止めを1~2時間ごとに塗っていた。それでもちょっと焼けた。
それで富士山って何なんですか?
めっちゃでかい山でした
少なくとも夏であれば雪を踏む必要はなかったし(この数日後降ったらしいが)、登攀や沢登りなんかもなく、技術的に難しいところは一切ない。でも舐めプはダメだよ。
高山病予防と体力配分、気象が成功を左右するキーかな、という印象。
日本で一番高い山から見下ろす景色はどこまでも見通せて最高。
日本人なら一度は登りたいよね。
山小屋もたくさんあって、賑やかだったなあ。
自由に使えるお金と身体があって、天候にも恵まれて、最高にラッキーだなと思いました。
たくさん励ましてくれたり、助言してくれたり、本当にありがとうございました。
色々反省点もあり、リベンジ案件がたくさん。
脇役くんは次こそは山頂ね。
また遊びましょう!