谷中ビアホールに行ってきて最高に懐かしくなっちゃった話
こんにちは。
引きこもっている間に晩春は初夏になり、薄着で少し歩いただけで汗ばむ季節となりました。
今日はとってもいい天気なので、谷根千散歩へと出かけました。
谷根千とは。文京区東端から台東区西端一帯の谷中、根津、千駄木周辺地区を指す総称である。(Wikipediaより)
この辺りは、古い町並みが残っていたり、古いものをリノベーションしたり、猫がいたり(いるらしいが日ごろの行いのせいか全然見かけたことがない)、下町情緒の残る地域として知られています。
夕焼けだんだんとか言うと、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
今日のお目当ての一つは、谷中ビアホール🍺
古民家をリノベーションした非常に趣のあるビアホール&ブリュワリーです。
そう、ここはブリュワリー。オリジナルビールを出してくれるのです。
4種飲み比べ&ピリ辛こんにゃくで約2,000円なので、決してせんべろの類ではございませぬ。だがしかし...美味いっ!
左から、谷中ドライ、谷中ビール、谷中ゴールデン、谷中ビター。
個人的な好みでいうと、香りが華やかで苦味がずしっと飲み応えのある谷中ビターが一番好きですが、
汗ばむ日には谷中ドライがごくごく飲めて良いと思います。
昭和13年に建てられた古民家を再生したそうです。
昭和13年は、1938年。2020年から見て、82年前。わお。
狭く急な階段、低い玄関ドア、少し湿度のある中庭。すべてがノスタルジック。
塩とオリーブオイルと和紅茶のお店も同じ敷地にあります◎
今日は何も買わなかったけど、贈り物とかに良いかもしれない。
店内は古新聞が貼られていたりなど。
絶対に見たことがない風景のはずなのに、どこか懐かしい感じです。
屋外席もあるので、晴れた日に東京にお越しの際はぜひいらしてください♪
と、ここまではレビュー。
続きはちょっと掘り下げた感想です。
隙あらば自分語りな感じなので、ご興味あれば。
ところで、この古民家リノベのビアホール。どこから「懐かしい」という感覚が掻き立てられるのでしょうか。
実家?祖父母の家?個人的には、父方の祖父母の家は下町に在った戦後からの古い家だったけれども...
何か懐かしさの根拠が自分の裡にない限り、それはまるで日光江戸村のような、ドイツ村のような、テーマパーク的な楽しさとして評価されるはずなのです。
例えば、入道雲、ひまわり畑、さびれたバス停、蝉取り、縁側で食べるスイカ、白いワンピースの少女。
少年時代に体感する日本の夏の象徴として取り上げられることの多い情景ですが、いまいち現代に育った江戸っ子の私には現実感の湧かないものです。
それでもそれらが扱われるということは、少なくない数の日本人の琴線に触れ、内在的な体験や感情を引き起こすということなのでしょう。
ただ、それらを体験していない私のような者にそれらを「懐かしい」「エモい」と捉える感性が在ったとして、それは自らの経験に根差すものではないのです。では、その感情はどこから出てくるのか。
誰かの情景を、思い出を、そのように捉える感性が私たちには備わっているのではないでしょうか。
自分たちの現在持っている感性のルーツを、その情景の中に見出しているのかもしれませんね。
民家は土足で上がり込むものではないし、暮らしている中で壁一面に古新聞が飾られることはあり得ません。ここで感じた、「あるはずのない懐かしさ」について、少しだけ深堀りしてみました。
どこでもどの時代でもないのに、自分の居場所として認めてくれる空間というのはとても稀有で、妙で、異質で、温かい体験であると私は思います。
前世代の文明はおそらく、その当時の人々の思いや何気ない暮らし、軌跡、誰かが生きた証として、文脈を変えて存続していくものだと思います。思いたい。
忘れ去るのではなく、「エモさ」、それだけのためでもいいので、大事にしていきたいものです。
・・・いずれ、私たちの暮らしも、後世の人々によってノスタルジックなものとして感じられ、楽しまれるのでしょうか。
ここに、動画を作る意味、バイクでの旅を記録として残す意味もきっと在ると思うのです。ニコニコのサーバーがなくなってしまえば、それも終わりだけど。
でも、誰かの記憶の片隅に残って、別の誰かにする与太話にでもしてくれたらいいな。
今走っているバイクたちだって、いずれは旧車になって、もしかしたら未来ではガソリンで走っていないかもしれない。
将来、どこかで誰かの「エモさ」に繋がるなら、作製の甲斐があるというものです。
・・・82年後のバイク乗りは、どこで何してるのかなあ。